昼休み。
私のクラスの佐藤 玲子の上履きが、側溝の所から見つかった日。
 
早速、私は佐藤さんとその話をすることにした。
なぜ、彼女は「嘘」をつかなければならなかったのか。
 
「うわばき、忘れてしまって・・・」
 
何者かによって、側溝の中に隠されたのに、何故忘れたといって、スリッパを借りにきたのか。
 
 
失礼します。
 
職員室の扉が開き、佐藤 玲子が入ってきた。
 
佐藤さん、こちらに来て。
 
そういって、職員室からつながっている、相談室の扉へ案内した。
相談室の部屋に、彼女を先に座らせて、私は「証拠」を持って相談室に入った。
 
「佐藤さん・・・今日来てもらったのはね・・・この、うわばき・・・」
 
そう言いながら、そっと机の上に、側溝に隠されていた、まだ新品同様の、彼女の上履きを置いた。
 
「・・・実は、用務員のおじさんがね、側溝にあったのを見つけて持ってきてくれたの。」
 
彼女は、固まっていた。
何も言わず、ただ、そのうわばきを見つめていた。
 
「あのね・・・先生、率直に言うけど、・・・昨日、上履き忘れたんじゃなくて、誰かに隠されたんじゃないかって思って・・・」
 
「・・・」
 
彼女は、まだ無言で、私に気後れしている様子だった。
彼女を責めるつもりはない。被害者は彼女のほうだ。嘘をついたことは、何か理由があるはず。
 
「・・・先生に、何か言いにくいことがあるのかもしれない・・・でもね、これはいたずらにしては悪質だし、こんなことが私のクラスで起きていることに、先生、自分が許せなくて・・・佐藤さん、あなたは何も悪くない・・・先生は味方よ。だから、何か悩みがあったら話してほしいな」
 
「・・・せんせい・・・」
 
やっと彼女が重い口を開いて、少し顔をあげてくれた。
 
「・・・実は、私・・・クラスの皆から、シカトされてて・・・・」
 
シカト。嫌な言葉。彼女は、そんなクラスの雰囲気に耐えていた。
 
「・・・上履き、毎日のように、無くなってて・・・昨日は靴も、ローファーも隠されて・・・」
 
「・・・つらかったね。。。でもどうして先生に相談してくれないの。。。ご両親には?」
 
彼女は大きく首を横に振った。何故、親にも言えないこと・・・
 
 
「・・・せんせい、これから話すこと・・・先生だけの秘密にしてもらえますか?」
 
秘密。うんうん。私は二回首を縦に振って内緒にすると約束した。
 
「実は・・・」
 
 
私はこの後、自分のクラスに起こっている、非常なイジメの実態を彼女から聞くことになる。
彼女をいじめている首謀者の名前も三人。信じたくない話だった。