加藤学。公立高校の2年生。クラスでいじめられていて、ほぼ毎日のように靴を隠されている。下校時、自分の靴を探すことが、日課になっていた。
 
ある時、学は、自分の靴を探していた時、男子トイレの掃除用具入れの中に、サイズから女子のものと思われるローファーを見つける。

恐る恐る手に取り、靴の中を見ると、24cmのサイズで、「2-4 高橋」と書いてある。
 
学は、自分の靴のことは忘れていた。
自分と同じように、こんなところに靴を隠されている女の子がいる。
もし、今も学校内で探し回っているなら、直接届けてあげたい。
学は、切にそう思っていた。
 
ただ、本当にいるか、わからない。第一、クラスと名前がわかっても、顔がわからないから、会える確率はほとんどないだろう。
 
そう悟った学は、この子の下駄箱にローファーを返すことを思いついた。
下駄箱なら、クラスと名前が書かれているし、確実にその子に返せる。
もし今日まだ学校内にいれば、今日その子が探すのをあきらめ、念のためもう一度、自分の靴箱の中を確認してくれれば、無事ローファーを履いて帰ることができる。今日じゃなくても、明日の朝には。
 
学は、男子トイレを後にした。その子、「2-4 高橋」さんのローファーを右手に持って。
 
 
◇◇◇
 
 
「2-4 高橋」
甲の部分に書かれた、片方だけの上履きを持ち、屋上のベンチに腰掛け、空を見上げている女子生徒。
不意に、涙が頬を伝って流れおちていく。
足元には、来客用のスリッパ。
上履きを隠され、やっと見つけた自分の上履き。でも片方しかなかった。
そして、彼女にはもっと不幸なことがある。それは…