卒業。

この日をどれだけ待ち望んでいたか。

学校、クラスという群衆の中の孤独。
冷たい視線。
私物が無くなったり汚されたりした時の虚しさや悲しさ。

それらからの解放。

卒業式も終わり、下駄箱の前でふと、ゴミ箱に入りきらない程うず高く積みあげられた、赤い縁取りの上履きを発見した。

それらはもちろん、私達卒業生の遺物。
皆、古びていている。

でも、私のは、新品。
一昨日、上履きに落書きされて、自分であのゴミ箱に捨てて、昨日新調したばかりだから。

ゴミ箱の近くに寄ってみると、溢れ出した上履きの中に、見慣れた名前。

それは、私をいじめていた首謀者のひとり。私の、最もキライな女の子。

持っていた黒色のマジックをバックから取り出して、その子の上履きの片方を手に取り、
「バカ」
「ブス」
と上履きの中敷きと甲のところにいたずら書きした。

少しだけ、心がスッとした。
上履きをその山に捨てて、私は卒業した。

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