「井上さんの探し物は、これだよね」

加藤君から呼びかけられた言葉。
加藤君が手に持っている、ローファー。

(もしかして・・・まさか)

私は、加藤君の顔を見ることができずに、そのローファーを見つめることしかできなかった。

「これ…井上さんのローファーだよね? 靴の中に井上って書いてあるし・・・」
「それに・・・僕見ちゃったんだ・・・井上さんが、昼休みの時間、下駄箱で井上さんの靴箱からローファーを取り出して、それを裏庭の茂みの中に、自分で隠したのを・・・」

見られていた。
加藤君は、すべて知っている。

「ど、どうして・・・」

私は動揺しながらも、どこまで、なぜ知っているのかを聞きたかった。

「ここじゃ落ち着かないから、屋上に行って話そうよ」

加藤君は、私の靴箱にローファーを入れ、そう言いながら歩き出した。

私は、ただ黙って加藤君についていくことしか、できなかった。